Question:
サステナビリティ開示として具体的に何を開示すべきでしょうか。
Answer:
サステナビリティ開示で具体的に記載する項目については、東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード」が参考になります。コーポレートガバナンス・コードとは、証券取引所が、実効的なコーポレート・ガバナンスの実現に資する主要な原則を取りまとめたものであり、「コーポレート・ガバナンス報告書」で開示が求められています。
以下はコーポレートガバナンス・コードでサステナビリティに関連する項目を抜粋したものです。
基本原則2 考え方
また、「持続可能な開発目標」(SDGs)が国連サミットで採択され、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同機関数が増加するなど、中長期的な企業価値の向上に向け、サステナビリティ(ESG要素を含む中長期的な持続可能性)が重要な経営課題であるとの意識が高まっている。こうした中、我が国企業においては、サステナビリティ課題への積極的・能動的な対応を一層進めていくことが重要である。
原則2-3.社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題
上場会社は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題について、適切な対応を行うべきである。
補充原則 2-3①
取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきである。
原則2-4.女性の活躍促進を含む社内の多様性の確保
上場会社は、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することは、会社の持続的な成長を確保する上での強みとなり得る、との認識に立ち、社内における女性の活躍促進を含む多様性の確保を推進すべきである。
補充原則 2-4①
上場会社は、女性・外国人・中途採用者の管理職への登用等、中核人材の登用等における多様性の確保についての考え方と自主的かつ測定可能な目標を示すとともに、その状況を開示すべきである。
また、中長期的な企業価値の向上に向けた人材戦略の重要性に鑑み、多様性の確保に向けた人材育成方針と社内環境整備方針をその実施状況と併せて開示すべきである。
補充原則 3-1③
上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについて の取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。
特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。
補充原則 4-2②
取締役会は、中長期的な企業価値の向上の観点から、自社のサステナビリティを巡る取組みについて基本的な方針を策定すべきである。
また、人的資本・知的財産への投資等の重要性に鑑み、これらをはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行が、企業の持続的な成長に資するよう、実効的に監督を行うべきである。
他方で、2021年11月にIFRS財団によって設立された国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)からはサステナビリティ開示基準の公開草案が2022年3月31日に公表されており、気候変動リスクについては他の項目に先駆けて基準案がでています(ISSBの公開草案については別の機会にご説明します)。
「コーポレートガバナンス・コード」の補充原則3-1③にもありますが、気候変動リスクについては、国内でも海外でも関心は高く、優先度が高い項目と考えられます。